皆さんこんにちは。ニューヨーク帰りのインテリアデザイナーの秋野です。
日本ではインテリアデザイナーという専門職は、一体どのようなことをするのか一般的に知られていないということが、日本に住み始めてから分かりました。また正確には、インテリアデザイナーという専門職は日本では実際には存在していないようです。インテリアデザインと言ったとき、ほとんどの人はインテリアプランナーやインテリアコーデイネーターを想像すると思います。それで今回は、インテリアデザイナーが実際に何をするかお話ししようと思います。
アメリカにはインテリアデザイナーという名前の職種があります。インテリアデザイナーのほとんどは大学でインテリアデザインの学士号を取得しています。簡単に言えば内装建築デザイナーです。ですから、家具やインテリア装飾素材の知識だけではなく、建築の知識を待っています。建築士でもインテリアデザイナーにはなれますが、インテリアデザイナーのように大学で専門的には内装建築デザインについては勉強していません。インテリアデザイナーはアメリカでは、各州の免許を取ることが出来ます。幾つかの州では建築士の代わりにインテリアデザイナーが、内装工事については、建設局への届け出をすることもできます
インテリアデザイナーの使命は、スペースを使う人のニーズをよく理解して、その人にとって最良の環境を作り上げてあげることです。それは外見だけではなく、使いやすさや、心地よさや、安全性や、健康も考慮してのデザインです。ですから、消防や建築に関する法律の知識も必要です。またデザインをクライアントに提案するときは、私の場合は、予算の無駄使いのない、工事コスト削減の為の工夫を凝らしたデザインを提案します。そして何よりも大切なことは、クライアントのニーズや希望を考慮した、パーソナライズされたデザインを作り上げることです。色々なタイプのインテリアデザイナーがいますが、私にとっては上のことが使命だと思っています。
インテリアデザイナーは以下の段階を踏んでデザインプロジェクトを進めて行きます。
Programming プログラミング (クライアントのニーズに従って、何をするか決める。必要事項や欲しいものをリストにする。)
Schematic Design デザインの図式
Design Development デザインの発展 (デザインの明細を図と文章で明確にしていく。)
Contract Documents 契約資料作成 (図面とスペック)
Construction Administration 工事運営管理
これらの5段階を見ると分かると思いますが、インテリアデザイナーの仕事はデザインだけではありません。実際にデザインをする前にはプログラミングが必要です。これをすることによって、クライアントの希望や考えも明白になって行きます。デザイン段階に行く前に考えておくべき事が実は沢山あります。エラーを最小限に留め、コスト超過にならないようにする為、プログラミングは欠かせません。
リノベーションを行うとき、日本では工務店に頼みますが、その前に実はインテリアデザイナーがやるべきことが沢山あります。一般的にクライアントはプログラミング的な事を自分の頭の中でしています。しかしそれは念入りに考えた計画ではなく、行き当たりばったりの思い付きのことも少なくありません。工事が進行した後に忘れていた事に気付いても、もう遅いこともあります。納得できない出来上がりのスペースにいやいやながら住まなければならなくなったとしたら、とてもがっかりです。
段階2と3でクライアントとデザインや予算の話し合いを何度も行い、段階4で工事会社のマニュアルと見積もりの基礎になる資料(Contract Documents)を作ります。これらの資料は出来上がりのイメージ画や図面や素材の仕様などで成り立っています。工事会社はこれらの資料を使うことによって、より正確な見積もりを出すことが出来ます。また口頭ではなく目に見える資料なので、クライアントと工事会社との行き違いを最小限に留める役目も果たします。
段階5ではインテリアデザイナーは、工事期間中にビデオコールやオンラインなどで、クライアントや工事会社とのミーティングを行い、工事がContract Documentsに従って進んでいるか確認します。またインテリアデザイナーは時には工事現場にも足を運んで、工事と取り付けのクオリティを確認します。
インテリアデザイナーは上記の5段階に従って、プロジェクトを進めていきます。プロジェクトの手順のシステム化が、より正確にクライアントのビジョンを現実にし、予算の無駄使いを防ぐ基本となるのだと思います。
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